国道16号の地下に眠っていたもの~雪との格闘
昨日1月15日はワタクシの生誕記念日でした。
毎年誕生日といっても特別なことはしないワタクシ、むしろ特別なことはしたくない。
いつもと変わらずに誕生日を過ごしたい人なのです。
しかし、今年の誕生日はちょっと違っておりました。
ひょっとすると、一生忘れられない誕生日になるかも...
そんなインパクトたっぷりの一日でございました。
先頃より首都圏外郭放水路と言うものに個人的に注目しておりました。
kj氏に話を持ちかけると予想通り乗ってきてくれました。
そして、図らずもワタクシの誕生日当日に現地調査決行となった訳です。
前日からの天気予報では15日は雪。
しかし、当日朝の天気を見て問題なしと判断。
昼前に厚木を出発し、埼玉県庄和町を目指したのです。
首都圏外郭放水路って何だ?
要は洪水防止のために、中小河川の許容流量を越えた雨水を地下の巨大なトンネルに流し込み、ポンプでくみ上げて江戸川に放水すると言うシステムなのです。
この壮大な施設は、世界初の試みとのこと。
地下トンネルは直径10.6m、国道16号の直下50mを6.3kmにわたって敷設されます。
5本の中小河川から流入した水は、670,000立法メートル(サンシャイン60ビル1杯分)蓄えることができ、それらをいったん調圧水槽へ導きます。
調圧水槽の水位が規定レベルまで達すると、14,000馬力のガスタービンエンジンで駆動される2基のポンプインペラによって雨水が江戸川に放水されると言う仕組み。
このポンプ設備は、25mプール1杯分の水を1秒でくみ上げる能力があるんだとか...
全てが桁外れの能力を持った設備群なのです。
今回は、実際の地下設備の見学はできなかったのですが、庄和排水機場に併設された資料館的なものを見学して参りました。
時間的に閉館間際だったので、説明のおっちゃんが付きっきりで解説してくれました。
解説してる本人が一番アツくなっていました。
そして最後におっちゃんが、「平日は地下設備の見学会もやってるので是非!」といって案内パンフを頂きました。
これは参加するしか無い!と思ったのですが...平日かぁ...

写真は第一地下トンネルを掘削した際に実際に使用したシールドマシンの先端部分。
資料館を出た時点で時刻は17時前。
次なる目的地は埼玉県大滝村に建設中の「滝沢ダム」。
以前にも何度か作業現場を見学に行ったのですが、昨年末にコンクリートの打設が完了したと言うことで、どんな感じになったのか見に行くことにしました。
このとき我々は、この後に起こる出来事など全く想像していなかった訳で...
庄和町からR16を西に、川越にてR254に入り北西に、雨のなか車を走らせていました。
東松山、嵐山、小川を抜けR140に入って寄居町を走行中、雨が雪に変わってきました。
滝沢ダムは山奥なので、本格的に雪に降られるとマズイと思い、細心の注意を払いつつもペースを上げていきました。
と、そこに突然、電光掲示板に不穏な文字が映し出されているのをワタクシは見てしまったのです。
「この先積雪。走行注意」
「この先雪」では無くて「積雪」ってことは積もってるのか?
その時点では路面は濡れてはいましたが、全く積もる様子など無かったのですが...
まだ、路面には雪はありません。
カーナビを見るともうすぐ長瀞町。
つまり、秩父のずっと北を廻るルートを選んでいたのです。
それは何を意味するのか...
長瀞町に入ったことを示す看板が見えました。
緩い登坂路の先は一面の銀世界でした...
ワタクシの180SX、夏タイヤです。チェーンも持ってません。
ブレーキ踏めば横滑り、緩い登坂路でも助走をつけないと登りきれません。
かといって、シフトダウンするとタイヤがトルクに負けて無常にも空転するのみ。
もう横に座っているkj氏の声も全く聞こえなくなりました。
夏タイヤでチェーンなしの状態で雪上走行すること自体は、何度も経験があります。
ただ、条件が違います。
以前走ったときは、大雪の日に自分のクルマがどれほど滑るのか確認するために、敢えて雪道に挑んだのです。
当然、殆ど車通りの無い幅の広い田舎道、それも深夜です。
雪道でのコーナーの走り方、ブレーキングの仕方、発進の仕方、スピンした時の体勢の立て直し方、そして登坂路でのゼロ発進の仕方...何度も練習しました。
とは言っても、万が一、出先で突然大雪に見舞われたときに冷静に走行して、チェーン装着場所まで無事辿り着けるように練習した訳で。
いずれは、チェーンをトランクに常備しようと思っていたのですが...
その前に、実際にこんな状況に遭遇してしまうとは。
必死になりながら運転しつつも、此処を抜ければ積雪は無くなるだろうと考え、信号待ちの度にナビで地図を確認していました。
今、クルマは南に向きに走っています。南に行けば暖かくなるだろう...
ん?南といってもこの先は秩父?
秩父の東側は南北に山岳地帯があります。
その北側を迂回してきた訳です。
と、すれば...長瀞町はその山岳地帯の西側に位置している訳で...
山を隔てた反対側の天気など読めるはずはありません。
気づいた時には遅かった。
積雪はどんどん増え、平地でも35km/hで走行するのがやっと。
そんな中、不幸にも緩い登坂路で前方に赤信号が立ちはだかっていました。
普段なら、平地と同じ感覚でゼロ発進できるような緩い登坂路です。
速度を緩めましたが、無常にも信号が青になる気配はなし。
前走車と2車長ほど空けてやむなく停止。
信号が青になり次々とクルマが発進し、いざ自分の番。
緊張の一瞬...
駄目もとで1速に入れ1,800rpmでクラッチをつなぐ...
当然、後輪は空転。すかさず2速へ入れるもやはり空転。
アクセルを極僅かずつ緩め、タイヤのグリップする感覚を必死で探す。
空転しつつも微妙に進んでいる気配を感じ、その僅かな速度を殺さないよう素早く3速へ。
未だ後輪は空転している。1,400rpm、横滑りしたら即スピン。後続車に突っ込む可能性もある。
ハンドルの傾きにも細心の注意を払う。
バックミラーを一瞬覗くと、後続車は停止してくれている。
さらにアクセルを僅かに緩めていく。900rpm、エンスト寸前、しかし辛うじて前には進んでいる。
アクセルをゆっくり踏み込む。後輪が大きく横滑りを始める。
しかし、慣性力が働かないのでアクセルを緩めれば即エンスト。
何度もカウンターをあて、立て直しを図る。
スピードが乗り慣性力が発生するに連れ、徐々に横滑りは収まりまっすぐ進むようになった。
取り敢えず難関突破。
交差点を越え左コーナーを抜けて下り坂に差し掛かる。
下りきったところでまた信号があり、その先は若干急な登坂路。
この信号に引っ掛かれば、もうどうすることもできない。
ゼロ発進から登坂するだけのスピードを稼ぐ距離は無い。
かといって、Uターンしてもやはり登坂路。
青信号で交差点を抜け、且つ出せる最大の速度を搾り出せるよう、交差路の信号を見つつタイミングを計る。
幸い、先程の交差点でモタモタしたおかげで、前走車はおらず自分のタイミングで行ける。
信号は青、歩行者用信号は未だ点滅を始めない。
いける。
交差点で40km/hに達するよう加速していく。
青信号で交差点を通過。
登坂路に差し掛かる。かなり勾配がある。
スピードメーターの針は反時計回りに動いている。
万事休す。
路側に、狭い路地へ斜めに降りていくための広いアプローチがある。
「もうムリ、リタイヤ。」
_| ̄|○
路側に斜めに突っ込み、思いっきりサイドブレーキを引いてハザードを出す。

画像左がR140。真っ暗に見えますが街灯がたくさんあり、交通量も多いです。
ちなみに、この時点で左後輪は脱輪すれすれの状態。
なるべく端に寄せようとkj氏に誘導を頼んで、後退で寄せたんですが...
脱輪しそうな状態で危ないと感じたkj氏は、何を思ったか後退しているクルマを後ろから押して止めようとしたそうです。
「ストップ」と言ってくれるだけで良かったんですが...
深々と降り続く雪の中、我々は「さてこの先どうしたものか」と考え込みました。
答えはひとつ、「JAF出動要請」しかありません。
ワタクシ:「JAFの電話番号わかる?番号案内何番だっけ?」
kj氏:「わからない。誰かに電話して聞いてみる。」
kj氏が友人に電話して番号案内が104番と判明。
こんな状況だと、「104」と言う3桁の数字すら思い出せなくなるんですね。
104で北関東のJAFセンターの番号を聞き、すぐに掛けるも「只今込み合っています」のアナウンス。やはりこの天気で忙しいのだろうか。
一旦電話を切って、辺りを見回す。
登坂路を上りきったところにSUZUKIのディーラーとガストが見える。
SUZUKIのディーラーでチェーンを購入することも考えた。フロアジャッキとウマも持ち歩いていたし。
しかし、ここでジャッキアップすれば2次災害が発生するのは目に見えている。
暫くして再度JAFに架電。つながった!
取り敢えず、近くの業者からレッカー車を出してもらう。
土地勘の全く無い現地で必死で場所を伝え、1時間から1.5時間掛かると言われたので、ガストへ行って暖を取ることに。
10センチ以上の積雪のある歩道を、kj氏に平謝りしながらガストに辿り着きました。
正直全く食欲が無かったんですが、長い夜になることも考え取り敢えず食事を取りました。
ガストに着いてから約30分後、JAFに電話してから1時間程経ったその時、レッカー業者から現地に到着したとの連絡が入りました。
再び雪道を歩いてクルマまで戻りました。
すでに、レッカー車が180SXの傍らに止まっていました。

レッカー車の姿を見た我々は、そのカッコよさに興奮し、こっそりと激写してしまいました。(・∀・)カコイイ!!
業者の方の話では、夏タイヤでチェーンなしでこの雪道をレッカー移動すると、レッカー車まで引き摺られて滑る可能性があって危険とのこと。
「もう暫くしたら、うちの社長がローダーで来るのでこの伝票を渡してください。」
と言って、次の現場に向かおうとしていたのですが...
スタッドレスを履いたレッカー車が路側のスペースから車道に抜け出せない!
その方は慣れた手つきでチェーンを装着しながら、「スタッドレスでも動かないんだから、よほどのものですよ」と言っていた。
確かに、この雪で夏タイヤで走る人間なんて普通いない。
ワタクシだってこのクルマで乗り切れるなんて思ってはいません。
横を走る国道を、みんな何食わぬ顔で走っていくのを見て、「埼玉は雪国だ...」と確信しました。
教訓:埼玉を甘く見るべからず
そんな話をしていると目の前にローダーが現れました。
ここでも我々はそのカッコよさに、またまた興奮。
「ナイトライダーみたい!(・∀・)」
早速車載作業が開始されました。社長、声がでかくてちょっと怖い。
ウインチでフロントを引っ張り揚げてもらい、社長の指示でハンドルを切りながらローダーに乗っかりました。
我々もローダーの助手席に乗せてもらい、積雪の無い寄居まで運搬してもらうことに。
道中、社長が色々と雪の怖さを解説してくれました。
実はとってもいい人でした。
有料道路を走行中、ちょっと前を走っていた3ナンバーのセダンが左コーナーでスリップ。
右にカウンターをあてて、対向車線に飛び出してスタックしてました。
社長は「ほらね、ああいうのがいるんだよ」と言い、慣れた感じで対向車線の右端ぎりぎりをすり抜けていきました。
左コーナーなので、イン側をすり抜けていこうとすると、バンクで滑った車にぶつけられてしまうため、敢えて対向車線のアウト側を抜けるのだとか。
トンネルをいくつか抜け、寄居に入ると嘘のように積雪は無くなり、雪も雨になっていました。
有料道路を抜けたところで、降ろしてもらい、精算。
代金は¥17.1k也。ちなみに、JAF会員なら今回のケースは¥3.6k程で済んだそうです。
社長にお礼を言い、R140から関越に乗り帰路に着きました。
24:45 帰宅
走行距離310km足らずでしたが、恐ろしく疲労が溜まりました。
我が家に到着し、一息入れていると、すでに日付は16日。
充実した誕生日で御座いました。
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